「私、糖尿病なの」という言葉はたまに聞きます。
話すほうも聞く方も、なんとなく軽い。 それもそのはず、この糖尿病、今や国民病といってもいいほどで予備軍まで含めると2千万人以上になるといわれています。
合併症にでもなれば人工透析が欠かせない腎不全や失明に至る網膜症、足の切断を迫られる壊疽、さらに動脈硬化も進んで心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる病気を引き起こすリスクが高くなる、糖尿病専門医のAGE牧田クリニックの院長はそう解説します。 一度かかったら治らないと言われるこの病ですが、予備軍の段階なら、しっかり予防をすればまだ間に合う段階といいます。 糖尿病についての知識を身に付けて、美味しい生活を楽しみたいですよね。
糖尿病予備軍かどうか
危険度をチェックしよう
自分が糖尿病予備軍かどうかチェックしましょう!
下の項目で7つ以上当てはまる人は、数年以内に糖尿病を発病するリスクが高い糖尿病予備軍になっている可能性もあります。
- 親や兄弟姉妹、祖父母などに糖尿病の人がいる。
- 20歳のときから体重が10キロ以上増えたことがある。
- 腹囲が90センチ以上ある
- 食事時間が不規則だ
- 食べるのが速い
- 野菜や海藻類をあまり食べない
- 40歳以上である
- 運動不足である
- ストレスが多く、イライラしていることが多い
- お酒が好き
- 朝食を食べない
- 菓子パンが好き
- 脂っこい食べ物が好き
- 清涼飲料水やジュースをよく飲む
- タバコを吸う
いかがでしたか。
糖尿病予備軍の段階ならば、運動不足や不規則な生活などを改善することによって糖尿病にならずに済むといいます。生活習慣の改善がいかに大事かですね。
内臓脂肪が多い人は
糖尿病リスクが高まる
糖尿病と深く関わる血糖を吸収し血糖値を下げるのは、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンだけ。インスリンの働きによって、血中のブドウ糖は全身の細胞で吸収されエネルギーになります。
ところが近年、内臓脂肪からインスリンの効き目を悪くする物質が出ていることが突き止められました。内臓脂肪が増えると、その物質の分泌量も増加します。更年期以降は、脂質代謝が落ち、内臓脂肪が蓄積しやすくなるので要注意と、牧田先生は言います。
日本人は糖尿病になりやすい
日本人は遺伝的にインスリンを分泌する能力が低い。
簡単に糖質を摂取できる農耕民族の日本人は、ブドウ糖を体内に加える必要がなかったため、インスリンの分泌量が欧米人の半分から四分の1程度しかありません。しかし食生活の欧米化、生活習慣の乱れから、糖質の体内での蓄積量が増えたのに、インスリンの分泌量が不足。さらに効き目も低下したことで糖尿病患者が増加しました、とは矢作先生。
痩せていても糖尿病になる
糖尿病はメタボだけがかかる病気ではない。
日本の肥満者の割合はアメリカよりも低いのに、糖尿病患者の割合が多い。また、インスリンの分泌量は30代をピークに下がり続けます。さらに若いときに過激なダイエットを繰り返したり、メタボだったりした人は注意が必要。糖分を大量に摂取してインスリンを大量に分泌したことで、すい臓の機能が疲弊している可能性も。今、痩せているからと安心はできないのです、と牧田先生。
歯磨きでリスクが減る
日本人の7〜8割にみられる「歯周病」は、歯を失う原因になるだけでなく、糖尿病とも密接に関わっている。
歯周病を放置すると、歯周病菌が血管内に入り込みます。それを撃退するために、免疫細胞の”マクロファージ”がインスリンの分泌を抑えたり働きを弱くしたりする物質を作り出します。正しい歯磨きや歯科での歯垢除去が有効な予防法です、とは牧田先生。
筋トレが糖尿病を予防する
筋肉量を増やすことは、糖尿病予防には欠かせない。
筋肉を使うと、血液中の血糖を筋肉に取り込んでくれるタンパク質”グルット4”が活性化。すい臓の負担を軽減してくれます。効果的なのは、太ももや背中、お腹などの大きな筋肉を動かす筋トレです。とくに腹筋は内臓脂肪を減らし、インスリンの働きを高める効果が期待できます。
食後のウォーキング(15〜20分)と組み合わせるとさらに効果がアップすると、牧田先生。
ミルクファーストで
血糖値を上げない
食事の前にヨーグルトや牛乳などの乳製品を口にすると、血糖値の上昇を30〜40%抑えられます。
これは乳製品に含まれる乳清タンパク質が血糖値の上昇を抑える役目を果たしているからだと考えられています。とはいっても牛乳には糖質が多く含まれているため、1日の摂取量は100ml程度に、とは牧田先生。
”ラス糖”習慣をつける
血糖値を上昇させる糖質は、なるべく最後に口に入れたほうがいいのです。血糖値を上げることがない野菜、タンパク質、脂質をとったラストに糖質という監修をつけたほうがいいでしょう、と牧田先生。
人工甘味料にワナが
人工甘味料にも糖尿病のリスクがあるという。
2015年には人工甘味料を与えたマウスの血糖値が上がったという実験結果が発表されました。また健康な人が人工甘味料を都立dけることで腸内細菌のバランスが崩れ、インスリンがブドウ糖を処理する力が低下したという報告もあります。人工甘味料も糖尿病になるリスクがあると考えて摂取したほうがいいのです、とは牧田先生。
認知症になりやすくなる
認知症の半分を占めている”アルツハイマー型認知症”は、糖尿病になると発症リスクが倍増する。
アルツハイマー病の人は、脳の神経細胞の外側に”老人斑”といわれるタンパク質の細い繊維がたまります。この”老人斑”には、体内の余分な糖質とタンパク質が結びついた糖化物質が大量に含まれているのです。アルツハイマー病と糖化物質の関係はハッキリしていませんが、糖尿病の人は健康な人と比較して認知症のリスクが2倍以上になることがわかっています、と牧田先生。
ストレスがリスクを上げる
ストレスと糖尿病とは結びつきが強い。
ストレスを感じると交感神経が活発にkなり、アドレナリンやコルチゾールなどの”ストレスホルモン”が分泌されます。このホルモンはインスリンの働きを抑える作業があります。とくにストレスが大きかったり、長時間続いたりすると”ストレスホルモン”が分泌され続け、すい臓に大きなダメージを与えます、とは牧田先生。
睡眠不足でも、寝すぎでもダメ
2015年に、4時間睡眠を4日間とった人は、インスリンの働きが23%も低下したという研究結果が発表されました。
また、7時間睡眠の人を1とした場合、5時間以下では糖尿病の発症リスクが2.6倍、8時間以上では3.6倍になるという報告もあります。睡眠不足が不足したり長すぎたりすることで、糖代謝がスムーズに行かないことが考えられます。
1日7時間前後の睡眠がベストです、と牧田先生。
糖尿病予防の新常識、いかがでしたか。
できることから対策して、予備軍リスクを少しでも下げる努力をしましょう。
(参考、引用元:女性自身11/14号)